2026.08.28
モノづくり
【2026年版】ケーブル・ハーネスの基礎知識と加工のポイント~最新動向まで網羅
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もくじ
1 電線・ケーブル・ハーネスの違いとは? 初心者向けの基本
2 ケーブル加工、ハーネス加工のポイント
3 次世代産業を支えるケーブル・ハーネス 需要は拡大傾向
4 ケーブル・ハーネス加工における製造DX
5 ケーブル・ハーネス加工においてマグトロニクスが支援できること
6 まとめ
私たちの身の回りにある産業機械、自動車、半導体製造装置、データセンター、家電製品──これらを支える重要な部品の一つが「ケーブル」「ハーネス」です。
日常生活では目に触れる機会は多くありませんが、電力や信号を確実に伝達するためにケーブルは欠かせない重要な要素です。製品全体の性能・品質・安全性・デザイン性など、あらゆる側面に影響を及ぼします。設計・製造に携わる技術者にとっても、決して見過ごせない重要な基幹部品です。
本記事では、ケーブル・ハーネスの基礎知識から加工・製造のポイント、製造DXの最新動向まで詳しく解説します。
1 電線・ケーブル・ハーネスの違いとは? 初心者向けの基本
ケーブルやハーネスは、いずれも電気を通すための電線です。そして、電線(ワイヤー)を基材として電気的な処理や加工を加えることで、ケーブルやハーネスが作られます。
本項では、それぞれの特徴をご説明します。
電線(ワイヤー)とは
一般的に電気の仕事に携わる人々の間では、電線とは「電力や電気信号、光信号を伝える線材」という定義で認識されています。
銅やアルミといった伝導性の高い金属を引き延ばして線状にし外部被膜で覆った線材で、使用場所や用途、電流容量に応じ、線材の形態も異なってきます。
電線内の中心にあたる金属部分の導体が一本の「単線」、細い素線(そせん)を複数本より合わせて1本の導体にした「より線」など種類があり、導体を絶縁材料で覆った電線は、電気用途では「ワイヤー」とも呼ばれます。

ケーブルとは
ケーブルとは、複数のワイヤーをシースと呼ばれる外部被膜などで覆った太い電線です。
電線とケーブルには、明確な区別・定義は存在しません。その現場の線材を見て、「これはケーブル」と判断されることが多い線材です。
電力供給だけでなく、制御信号や通信データなど、さまざまな用途で利用されており、用途に応じて導体の材質や太さ、絶縁材、耐熱性などが設計され、多くの種類があります。
ケーブルの例
・制御ケーブル
・電源ケーブル
・同軸ケーブル
・LANケーブル
・高耐熱ケーブル
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ハーネス(ワイヤーハーネス)とは
ハーネスは「ワイヤーハーネス」とも呼ばれ、電線(ワイヤー)の末端をコネクタや端子処理をしたものです。
日常生活では目に触れる機会は多くありませんが、電気や信号を安全に伝える、現代のあらゆる機器・産業・社会インフラで広く導入されており、現代社会を支える不可欠な存在です。製品の高性能化が進むほど、配線にも高い品質が求められます。
利用される主な分野(代表例)
・工作機械
・FA機器
・制御盤
・半導体製造装置
・自動車・EV
・医療機器
・インフラ設備
・民生機器(家電など)
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2 ケーブル加工、ハーネス加工のポイント
ケーブルやハーネスは、単純に電線を加工するだけではありません。加工から検査まで各工程の品質が最終製品の信頼性を左右します。本項では、ケーブル加工やハーネス加工を請け負うマグトロニクスの製造工程に沿い、加工のポイントをご説明します。
ケーブル加工・ハーネス加工の工程
【 線切 】
線切とは、線材を切断する工程です。さまざまな種類の線材を扱うため、それぞれの特性を正しく理解しておくことが不可欠であり、後工程の加工や組み立てへの影響を視野に入れた高い正確性と精度が求められます。
納入、測長
ケーブルの線材は種類によって「樽」という大きな束で納入されます。
納入後、まず緑色の測長台(床の場合もあり)を使って必要な長さに切り出します。わずかな誤差でも後工程の加工性や配線作業に影響するため、正確に切り出します。また、正確な測長は材料の無駄を防ぎ、コストを抑えるためにも重要です。

線切
切断作業は一見「切るだけ」のシンプルな工程に思われがちですが、実際には非常に繊細な作業です。 ケーブル内部の単線の種類や向き、被覆に施された印字の位置にも注意を払います。また、線材の太さにはわずかなばらつきがあるため、切断刃の種類や位置を適宜調整しながら作業を行います。こうした細かな調整によって安定した品質で切断が可能になります。
また、太径のケーブルで機械対応できない場合は、人力で慎重に切断します。マグトロニクスの場合は、φ70㎜以上のケーブルは、人力で切断しています。

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【 ケーブル加工 】
ケーブル加工は非常に繊細な作業であり、品質に直結するため熟練した技術と丁寧な手作業が求められます。ひとつひとつの工程の精度が、最終的なケーブルの信頼性と安全性につながります。
被覆剥き
被覆の剝き加工は剥きすぎればショートの原因になり、剥き不足は圧着不良を招くリスクがあるため、先端から何センチまで剝くかといった寸法が厳密に決められています。手作業、あるいは専用機械によって加工を行い、手作業の場合は最適な力加減が線材により異なるため、導体に傷がつかないよう細心の注意を払い指示通りの被覆剝き状態へ仕上げます。
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圧着、圧接、はんだ
ケーブルは複数の単線が束ねられて構成され、それぞれに電流が流れるため、圧着の精度が極めて重要です。1本でも圧着不足であれば発熱や接触不良の原因となり、逆に過度な圧着は導体を傷つけてしまう可能性があります。
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【 ハーネス加工 】
ハーネス加工においても、ケーブル加工同様に測長・線切・被覆剥き・圧着をおこないます。そして、コネクタの挿入・結束といった工程が加わります。電線(ワイヤー)ひとつひとつに対し適切な加工を行うことが必要な繊細な作業です。
圧着
圧着は、ハーネスの品質と信頼性を左右する最重要工程です。 圧着高さのズレ、芯線のはみ出し、引張強度不足はすべて避けるべきポイントです。適切な圧着は長期的な電気的安定性と高い製品信頼性を実現することにつながります。
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コネクタ挿入
目視だけでなく、ゆすりチェックやピン挿しチェックやコネクタの「カチッ」というラッチ音で、確実にコネクタのロック感を確認します。ピン挿しチェックでは接合部ひとつひとつを専用治具で押し込み、その手ごたえを確実に確認しながら、半挿し(挿入不足)不良がないかをチェックします。
接合したコネクタに一ヵ所でも半挿しがあると、接続不良や熱滞留となり、火災リスクとなる恐れがあるためです。確実なロック確認を徹底し、製品の安全性を高めます。

結束
最後に、複数の電線(ワイヤー)を結束します。分岐の長さ・位置・束ね方が乱れると、組付け性が悪化し、仕上がりの品質に影響します。 美しく整えられたハーネスは、品質の安定だけでなく、後工程の作業効率の向上にも大きく貢献します。

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【 検査 】
ケーブルの性能と信頼性を守る工程です。
検査には、通電検査、外観検査、耐圧検査の大きく3つがあります。
通電検査
導電検査ともよばれます。断線や接触不良を検査します。
マグトロニクスでは、他拠点でも同じ検査が実施できるよう、通電データをネットワーク上で一元管理しています。BCP(事業継続計画)の観点から、災害やトラブルが発生した場合でも、別拠点にて同一製品を製造・検査できる体制を構築することも大切です。
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外観検査
目視検査ともよばれます。被覆の傷や割れ、印字不良などをチェックします。
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耐圧検査
耐電圧試験ともよばれます。一定時間の高電圧をかけ、ケーブル・ハーネスが安全に利用できるかの耐久性と絶縁性を確認します。マグトロニクスでは500~600Vの電圧を流します。
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【 出荷 】
最終検査を終えた製品は、輸送中の安全を確保するため丁寧に梱包され、積み込み出荷されます。
オリジナル工具の活用
一定の数量加工が継続して見込めるケーブル加工が発生する場合、オリジナル工具を製作して導入することは非常に効果的です。特に、加工頻度の高いケーブルに専用工具を用意することで、作業の再現性が向上し、品質の安定化と作業時間の短縮を同時に実現できます。
マグトロニクスでは加工頻度の高い特定ケーブル向けにオリジナル工具(ハンドミットストリッパー)を開発し、作業効率を向上させることに成功しました。作業の処理速度は従来の4倍となり、結果として75%の作業時間の短縮することができました。
従来手作業で行っていた被覆剥きの切り込み加工はスピードが大幅に改善され、作業者の負担軽減につながりました。

美しい現場づくり
ケーブルやハーネスの加工現場では、長い線材が乱れたり崩れたりすると、作業の停滞や品質トラブルにつながる可能性があります。
そのため、マグトロニクスでは線材を均等に束ねて積み上げる美しい現場づくりを徹底しています。線材を均一に束ねることで整理整頓が進むだけでなく、線材が扱いやすくなり、次工程への製品受け渡しもスムーズになります。整理整頓の技術は、現場の効率化と品質安定を支える大切なポイントです。
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3 次世代産業を支えるケーブル・ハーネス 需要は拡大傾向
ケーブルやハーネスは、現代のあらゆる機器・産業・社会インフラを支える重要な部品です。
近年では、軽量化・コンパクト化・電子化といったデジタル機器の普及に伴い、配線数や配線の種類は増加傾向にあり、さらにAIの実装拡大に伴った半導体市場の拡大、データセンターの増設、FA・ロボティクス分野の進展により、高性能なケーブル・ハーネスへの需要はますます高まっています。
AI・半導体製造装置の需要増加
AIの実装拡大に伴い、AIサーバー向け半導体需要は拡大傾向にあり、2026年度の日本製半導体製造装置は、前年度比26.0%増の・売上高予測は約6兆5,500億円へと中期的に高い成長が見込まれています。
AIデータセンター用の半導体については、推論機能の高速化といった高性能化をはじめ、低消費電力化・大容量化などの要求が加速しています。先端技術の進化に伴い装置の高機能化が進むほど、装置内部に使用されるケーブル・ハーネスの需要も拡大傾向にあります。
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データセンターの増設
AIの普及に関連し、データセンターも加速度的な成長が見込まれています。日本の新たな成長・経済安全保障の重要分野として政府が掲げる「戦略17分野」に位置付けられており、大規模データセンターへの投資が加速しています。
安定したデジタルインフラを国内に有することが目的で、高速通信・大容量電源・冷却設備など、多数のケーブルが必要となり、高耐久・高密度配線へのニーズも拡大が予測されます。
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FA・ロボティクス分野の市場拡大
昨今、工場の自動化(FA=Factory Automation)や、実際の製造をサポートするロボティクス分野においても、市場拡大傾向にあります。現状、日本は産業用ロボット市場で世界シェア約7割を有し、モーター、減速機等の主要コンポーネントでも高い競争力を持っています。
工場の自動化が進むFA設備や産業用ロボットでは、多数のセンサーやモーターを接続するため、高品質なハーネスが不可欠であり、需要が見込まれます。制御技術の高度化など、品質要求は上昇しており、ケーブルやハーネスは、製造需要とともに、高度な加工技術も求められています。
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3 次世代産業を支えるケーブル・ハーネス 需要は拡大傾向
ケーブル・ハーネスの製造現場でも、製造DXが注目されています。職人の経験や感覚に頼る部分が多かった工程も、デジタル技術を導入することにより、従来の手作業中心の工程に比べて、一定の精度向上や作業の安定化が期待されるようになっています。
材料ロスの削減や作業効率・負担軽減の向上につながる取り組みや、数値による管理は、品質のばらつきを抑えることにつながります。
大型スクリーンによる工程管理
製造現場では、作業の進捗や工程状況を共有するために、大型スクリーンを活用した進行管理を導入するケースが増えています。納入製品ごとの作業状況などをリアルタイムで表示することで、現場全体の見える化を進め、情報伝達の迅速化・作業の抜け漏れ防止・現場間の連携の円滑化が図ることができます。
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自動圧着機による処理速度の向上
自動圧着機は、線材や圧着端子の仕様の情報をあらかじめ機器に登録し、1~2回のティーチングで安定した圧着品質を再現できます。作業者の熟練度に左右されない均一な仕上がりが魅力で、従来の手作業中心の工程に比べ、作業時間の短縮や工程全体の品質のばらつきを抑えることができ、現場の負担軽減にもつながります。
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品質管理における画像検査
製造現場では、品質管理の高度化や検査工程の効率化を目的として、画像データを活用した判定技術の導入が進みつつあります。またAI画像判定の場合は、画像データを蓄積して学習させることで、検査精度の向上や判定のばらつき抑制につながることが期待されています。
ケーブル製造における画像検査の活用想定
・端子違い
・圧着状態
・色違い
・コネクタ向き
5 ケーブル・ハーネス加工においてマグトロニクスが支援できること
マグトロニクスでは、お客様の用途や仕様に応じたケーブル・ハーネス加工を一貫して対応しています。小ロット試作から量産まで柔軟に対応できる体制を整えており、工作機械メーカ様、製造装置メーカ様を中心に豊富な実績があり、多くのお客様から温かいお声を頂戴しています。
ここではケーブル加工・ハーネス加工に関するマグトロニクスのポイントを3つご紹介します。
ポイント1 ケーブル・ハーネス加工に特化した専門工場
月産40,000キット製造を誇る、ケーブル・ハーネス加工に特化した専門工場があります。300を超えるメーカ様の製品を取り扱い、多品種少量生産にもフレキシブルに対応が可能です。調達・加工・組立・検査・出荷まで行っています。
ポイント2 設計・盤製作までワンストップで対応可能
ケーブル・ハーネス加工に留まらず、設計から盤製作まで一貫して対応が可能です。制御盤・操作盤など、お客様の仕様に合わせた最適な加工方法をご提案し、高品質な製品をご提供いたします。
ポイント3 豊富な実績と各種規格に対応
ケーブル工・ハーネス加工の受託製造の豊富な実績に加え、各種規格(JIS、CE、UL)にも対応しており、品質・環境マネジメントの国際規格「ISO9001:2015」「ISO14001:2015」の取得により、安定した品質での製造が可能です。
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6 まとめ
ケーブル・ハーネスは、電力や信号を確実に伝達するために欠かせない存在であり、現代のあらゆる機器・産業・社会インフラを支えています。
ケーブルとは、複数のワイヤーをシースと呼ばれる外部被膜などで覆った太い電線のことを指し、ハーネスは電線の末端を、コネクタや端子処理をしたものを指します。
そして、近年では軽量化・コンパクト化・電子化といったデジタル機器の普及や製造DXにより、高性能なケーブル・ハーネスへの需要はますます高まっています。
マグトロニクスでは、各種規格に対応した豊富なケーブル・ハーネス加工の実績を有しており、お客様の仕様に基づいた高品質なケーブルやハーネスを製造しています。300を超えるメーカ様の製品を取り扱い、多品種少量生産にもフレキシブルにも対応が可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
ケーブル加工・ハーネス加工・品質改善についてお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
監修・尾屋家 順二
株式会社マグトロニクス神奈川第2工場・工場長。約40年にわたり制御盤製作と組立に携わり、線材加工・品質管理・生産管理など製造全般に関し深い知識を持ち、ケーブル・ハーネスの加工現場を統括する。長年の経験で培った実務的ノウハウを活かし製品精度の向上や工程改善を推進し、現場視点でケーブル・ハーネス加工の品質向上に貢献している。
参考文献・参考サイト
『トコトンやさしい電線・ケーブルの本』(日刊工業新聞社)
EPLAN株式会社「意外と知らないワイヤー、ケーブル、ハーネスの違い」
一般社団法人日本半導体製造装置協会「半導体・FPD 製造装置 需要予測」
経済産業省「戦略17分野における「主要な製品・技術等」の官民投資ロードマップ(案)」