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Column on Mono-zukuri

2026.05.07

モノづくり

【初心者向け】半導体と基板の関係を徹底解説|AI・EV時代に高まる基板実装の重要性とは?

もくじ
・半導体需要が高まる今
・半導体とは?
・プリント配線板(基板)とは?
・実装基板の階層構造
・基板実装の重要性と弊社の強み
・まとめ
半導体が高性能化するほど、プリント配線板に求められる性能も高度化し、信頼性の高い基板実装が重要になる


半導体と基板は、どちらも電子機器に欠かせない存在ですが、その役割はまったく異なります。半導体が「頭脳」として情報処理を担うのに対し、基板(以下、プリント配線板)はその頭脳を支え、電気信号を正確に届ける「毛細血管」のような存在です。

AIやEVの普及で電子部品の高密度化が進む今、プリント配線板の重要性はこれまで以上に高まっています。本稿では、初心者にも理解しやすいように、半導体とプリント配線板の違い、そして両者が注目される理由をわかりやすく解説します。

半導体需要が高まる今

AI、EV、データセンターの急拡大に伴い、世界的に半導体需要が増大しています。現在、九州を中心とした地方拠点への半導体製造企業の誘致が進展するなど、半導体産業は国家戦略上の重要産業として明確に位置づけられています。

2025年には2nmの次世代半導体の試作に成功し、2026年以降も市場拡大と技術革新に関する動きは加速しています。経済産業省は2030年に国内半導体売上高を15兆円・2040年に40兆円へ拡大する目標を掲げており、その状況は日々更新されています。

さらに、「GX2040ビジョン」では、半導体やデータセンター等、クリーンエネルギーを活用した高付加価値産業が日本経済の成長を牽引するとの見通しが示され、最先端半導体およびパワー半導体の国内製造基盤強化が重点施策として掲げられています。

データセンター

半導体とは?

そもそも半導体とは、電気を通す「導体」と、電気を通さない「絶縁体」の中間の電気伝導率を持つ物質のことを指します。今日の代表的な材料にはシリコンが知られ、電子の流れを精密に制御でき、電気の流れをON/OFF(スイッチング)できる点が、最大の特徴です。この特性を生かし、ICチップ(集積回路)、トランジスタ(電子スイッチ)といった重要部品に使われ、「電子機器の頭脳」としての役割を果たします。

近年、半導体は小型化と高性能化が急速に進み、スマートフォンやPCといった高度な処理能力が求められる機器を支える中核技術となっています。膨大な計算処理を高速に実行できることから、AI、データセンター、ロボットなど現代の電子機器に欠かせない存在となっています。

中央部分にICチップが埋め込まれている

プリント配線板(基板)とは?

はじめに、当該用語については一般的に明確な定義が存在しないため、本稿では弊社の基準に基づき下表のとおり定義したうえで、以降の解説を進めます。

プリント配線板と実装基板の定義(弊社基準)

プリント配線板(PWB:Printed Wiring Board)とは、導電体と絶縁体の素材を積層し、絶縁基板の上に銅箔パターンが印字されている部品未実装の基板のことを指します。
プリント配線板は、電子機器に必ず使用されています。電子部品同士をつなぐ電気の道路の役割を果たし、用途に応じて以下のような種類があり、製品の小型化・高性能化に貢献しています。

プリント配線板(PWB)の種類
プリント配線板には、主に剛性のある「リジッド基板」と柔軟性のある「フレキシブル基板」があります。

リジッド基板
一般的な電子機器に使用されている硬い基板です。
導体層の数により、片面版、両面版、多層板に分かれます。

フレキシブル基板(FPC)
小型・軽量機器への搭載に優れ、薄く、折り曲げが可能な基板です。 
医療機器・スマートフォン・パソコンの折り曲げ部分(ディスプレイと本体をつなぐ箇所)などに使用されます。

リジッドフレキシブル基板
リジッド基板とフレキシブル基板を一体化した基板です。
プリント配線板間の接続を、コネクタを使用せずに接続することができます。

実装基板(PCB・PCBA)とは
そしてプリント配線板に、ICチップをはじめとしたさまざまな電子部品をはんだ付け等で固定し、搭載したものを実装基板(PCB:Printed Circuit Board)と呼びます。部品が搭載された基板を指します。

つまり、半導体とプリント配線板はセットで使われるということです。
どれほど高性能な半導体を搭載しても、基板(プリント配線板)が不安定であれば、ノイズの発生、熱が逃げずに故障したり、性能を発揮できません。
プリント配線板は、半導体の性能を支える受け皿として極めて重要な存在です。

実装基板の階層構造

半導体と基板はしばしば同一視されますが、実装基板の階層構造で捉えると両者の役割の違いは明確です。
次の3階層に分けて説明できます。

3階層構造での位置関係

第1階層:ICチップ(集積回路)
シリコンでできた半導体基板の上に、トランジスタ、抵抗(電気抵抗)、コンデンサなどの機能を持つ素子を多数作り、まとめた電子部品のことです。
シリコンウェーハ上にICを多数つくりこみ、チップとして切り出します。小さすぎて電気的な接続が難しいことから、パッケージ(ケース)に封入します。

シリコンウェーハ。これを個別のチップ(ダイ)に切断する

第2階層:パッケージ(ICパッケージ)
完成したICチップを保護し、外部と接続できるようにしたケースです。
ICチップと、メインのプリント配線板を電気的に接続する中間基板としての役割を持ちます。熱を逃がす役割もあり、半導体の寿命や性能に大きく関わります。

黒い四角部分がパッケージ

第3階層:プリント配線板(PWB)
パッケージ化されたICチップを含む様々な電子部品を搭載し、製品全体の回路を構成する最終的な土台となります。特にサーバーなどの通信機器では実装が複雑になります。

(左)プリント配線板 (右)部品が搭載された実装基板

3階層の関係性まとめ

•    ICチップ:半導体を含む電子部品
•    パッケージ:半導体を保護し、外部と接続するケース
•    プリント配線板:電子機器全体の回路を構成する土台

このように、プリント配線板は半導体とは別物ですが、半導体の性能を最終的に左右する不可欠な存在です。

基板実装の重要性と弊社の強み

半導体が高性能化するほど、プリント配線板に求められる性能も一段と高度になり、基板実装の重要性は高まっています。特に半導体分野では、AIの社会実装やデータの高速・大規模な利活用に加え、マイクロコントローラ、アナログIC、パワー半導体といったレガシー半導体についても、今後の需要拡大が見込まれています。

さらに、近年、国際情勢の変化により、サプライチェーンの安定性がこれまで以上に重要視されており、強靭化を図るうえでも、高度で信頼性の高い基板実装へのニーズは、今後ますます高まるといえるでしょう。

弊社の基板実装技術は、サーバーシステムをはじめとする高信頼性が求められる機器で豊富な実績を有しており、以下のような強みを備えています。

基板を組み込んだユニット製造まで一貫生産体制
部品調達・ケーブル加工・基板実装からユニット組み立てまで、一気通貫で対応でき、少量多品種などの生産にも柔軟に対応可能です。
また、基板実装においては、少ロットから月産20,000枚の生産能力を備えており、多様なニーズに対して安定した供給体制を構築しています。

ディスクリート部品は、ひとつひとつ手作業で丁寧に基板上に配置・実装します

スマホサイズからLサイズの基板まで、多様な分野で幅広く製造対応
基板サイズは、スマートフォン等でも使用される約50mm角の小型基板から、Lサイズの大型基板(最大400mm × 500mm。A3コピー用紙相当より一回り大きいサイズ)まで幅広く対応しています。
現在は、半導体露光装置用照明ユニット、タイムサーバー、X線分析装置、産業用PC、研究用顕微鏡のコントローラなど、多様な分野の実装基板を製造しています。

高品質な基板製造を支える、熟練スタッフによるはんだ付け工程

まとめ
半導体が高性能化するほど、プリント配線板に求められる性能も高度化し、信頼性の高い基板実装が重要になる

半導体とプリント配線板(基板)は、どちらも電子機器に欠かせない存在ですが、その役割はまったく異なります。
半導体は電子機器の「頭脳」として情報処理を担い、基板はその頭脳を支え、電気信号を正確に届ける「毛細血管」として機能します。どちらが欠けても電子機器は動作せず、両者は密接に連携しながら現代のテクノロジーを支えています。

そして、半導体が高性能化するほど、プリント配線板に求められる性能も高度になります。サプライチェーンの強靭化を図るうえでも、高度で信頼性の高い基板実装の重要性は高まっています。

弊社の基板実装技術は、サーバーシステムや分析装置をはじめとした高信頼性が求められる機器で豊富な実績を有しています。多様な分野の基板製造を手がけ、部品調達・ケーブル加工・基板実装からユニット組立まで一貫対応できる体制も整えています。

高度な基板実装に関するご相談やお見積りなど、ぜひお気軽にお問い合わせください。


監修・小林 宏治
製造現場と管理業務の双方に精通した、製造マネジメントのエキスパート。製造部門から管理部門まで約30年にわたり幅広い業務に従事。製造部門ではルーターや医療機器などの組立業務を経て、管理部門では生産管理として、スケジュール管理・生産計画を統括。製造・生産管理・営業を横断し培った多角的な知見を強みに、工場運営の最適化と品質向上に寄与している。

監修・矢口 秀樹
約30年にわたる経験を持つ、基板実装に精通するプロフェッショナル。特にSMT領域では、エキスパートとしてマウンターのオペレーション、画像認識を用いた座標設定によるプログラム作成、生産・設備メンテナンスまで一連の工程を担当し、多様な製品の実装に携わる。長年にわたり製造現場で実践知と高い技術力を磨き、安定した品質とものづくりを支える中核的技術者。


参考文献・参考サイト
『トコトンやさしいプリント配線板の本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしい半導体パッケージとプリント配線板の材料の本』(日刊工業新聞社)
『トコトンやさしいトランジスタの本』(日刊工業新聞社)
経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後
経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の今後の方向性
経済産業省「GX2040ビジョンの概要
一般社団法人 日本半導体製造装置協会「半導体とは
株式会社日立ハイテク「集積回路について

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